メダカを使った実験で季節を予知する遺伝子が見つかった(吉村崇・名古屋大教授提供)春になるとウグイスがさえずり、クマは冬眠から目覚める。生き物がこうした行動を取れるのは、季節の変化を予知する体内時計を持っているからだ。長く謎だったその遺伝子を名古屋大などの研究チームが突き止めた。人もこの仕組みを潜在的に持っているとみられ、季節特有の病気の治療に役立つ可能性がある。 季節の変化を見越して行動生き物が季節に応じた営みを行うことは紀元前から知られていた。古代ギリシャの哲学者、アリストテレスは約2300年前に著した「動物誌」に、渡り鳥など多くの生き物について越冬や冬眠、繁殖期などの生態を記した。 「動物の行動は、すべて交尾や産児や食物の獲得に関係があり、また、寒さや暑さや季節の移り変わりに適応している」(島崎三郎訳、岩波文庫) 冬になると温暖な地域に移動する渡り鳥や、冬眠によって餌の少ない冬を乗り切