分配のための富はすでにある。どう使うのかが問題だ 【クルーグマン】先ほども述べましたが、現在もっとも雇用が求められているのは、ヘルスケアとパーソナルケア・サービスの分野です。この分野はAIに代替されるところまで行っていません。つまり、ロボットの看護士はまだ登場していない。日本はテレプレゼンス(遠隔操作)の実験をしていますが、大きなインパクトをもたらすまでには遠いでしょう。 ユニバーサル・ベーシックインカムはその極端な形ですが、すべての人にヘルスケアを提供するなど、ほかにもできることはたくさんあります。現在アメリカは、国民皆保険制度の実現にこれまでにないほど近づいていますが、それも再分配の一つです。 誰がその資金を払うのかといえば、基本的には高給の人がそれを支える税金のほとんどを払います。子供にも助成金を出すとか、苦境にいる人の収入のサポートをするとか、さまざまな給付の方法が考えられます。最