【くまもと】国の文化審議会は23日、熊本県山都町の「通潤橋」を国宝に指定するよう文部科学相に答申した。今も農業用水に使われる石橋で、農業用の土木構造物が国宝に指定されるのは初めて。新田開発史上で傑出した存在と評価された。秋には官報に告示され、正式に国宝になる予定。 通潤橋は江戸時代の1854年に、水源の乏しい白糸台地に農業用水を送るために建設された。今も農業用水施設の機能を維持し、白糸台地の棚田など約110ヘクタールの水田を潤す。国内最大級の石造りのアーチ橋で、長さ78メートル、高さ21・3メートル、幅6・6メートル。通水管の長さは約120メートルになる。 国などによると、水を送る「サイホン」の仕組みが、耐久性に優れた石管とアーチ橋を一体化したもので、近世石橋の傑作と評価する。また鋼管やコンクリート管が用いられる以前の近世かんがい施設としては他に類がないとしている。 関連して、建設に従事し