ひとつ例をあげよう。 2012年、米マクドナルド社は「#あなたのマクドナルド・ストーリーをつぶやいて」と題したキャンペーンをツイッター上で立ち上げた。どんなに健康志向の人でも、放課後やクラブ活動のあとに同級生とマクドナルドでハンバーガーをほお張った懐かしい思い出があるはずだ。 企画者は次のように考えたのだろう。幸福なファンから寄せられた140文字のストーリーは、ファンの友達や、またその友達に拡散されるに違いない。マクドナルドファンとして「カミングアウト」してくれれば、ほかの人もまたマクドナルドに行ってみようという気になるだろう、と。 問題は、企業側に個人の発言をコントロールする手立てがまったくないことだった。マクドナルドの場合には、幸福な思い出より不幸な思い出をつぶやきたい人のほうが多かったのだ。ツイートは、警告めいたもの(「昔マクドナルドで働いてた。オレの話を聞いたら、髪の毛が逆立つよ」