ステージ上で観客を前に歌い、テレビの歌番組にも出演を果たすなど、近年では実在のアイドルと変わらぬ活動を展開している架空のキャラクター「初音ミク」。その彼女の身体的特徴を記したDNAデータを作成し、iPS細胞から人工的に作り出した「生きた」心筋細胞に組み込んで展示する――。そんな驚きの内容の展覧会「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」が、金沢21世紀美術館で開催されている。機械化した肉体にも一種の「魂」が宿るのかを問うた人気作『攻殻機動隊(Ghost in the Shell)』を思わせる展示名の通り、ここで問題にされているのは、生命と非生命、肉体と非肉体、実空間とデジタル空間などの間にあるとされる、様々な「境界」の曖昧さである。 作者の「BCL」は、ゲオアグ・トレメル、福原志保、吉岡裕記、フィリップ・ボーイングの4名からなる、2004年結成のアーティスト集団だ。ハーバード大