富士フイルム富山化学(東京)は14日、抗ウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルスの治療薬としての開発を中止したと発表した。患者の臨床試験で有効性が確認できなかった。 アビガンは2014年に新型インフルエンザの経口治療薬として製造販売が承認された。 同社はウイルス増殖を抑える効能が新型コロナにも有効とみて、21年春にワクチン未接種の新型コロナ感染者に対し、重症化を抑制する効果を確認する治験を開始した。 しかし、ワクチン接種を受ける人が徐々に増え、従来株より重症化率が低いオミクロン株の流行もあって治験の対象となる患者が減った。当初は目標症例数を316例に設定していたが、22年3月までに治験できたのは84例にとどまった。治験結果についても重症化の抑制効果について「有意な結果が得られなかった」という。厚生労働省に効能の承認を申請していたが、10月中に取り下げる。