隅田川にまつわる伝承の一つはかの有名な「在原業平朝臣<ありわらのなりひらあそん>で、才気溢れる稀代の美男子として語り継がれ、業平のロマンスは「伊勢物語」にも記されています。 「名にしおはゞ いざこと問はむ都鳥 わが思う人はありや無しやと」の名句は隅田川と都鳥とを知らしめた東国文学の最初であり、隅田川文学の基になっています。 業平の没年は880年で1,128年も前になります。 梅若丸伝説 そして、もう一つは、梅若丸伝説です。 京の都から、拐かされて連れ回され、衰弱して倒れた12歳の子ども梅若丸と、拐かされた梅若丸を捜し尋ねて狂女となった、母、花御前の悲しくも切ないお話てす。 12歳の梅若丸がいまわの際に「たづね来て とはゞこたへよ都鳥 すみだの河原の露ときへぬと」母が、自分を探して尋ねて来たら、隅田川の辺で息絶えました…と教えて欲しいと詠い、梅若丸を看取ったすみだの人々によって塚が築かれ、印