昨年、沖縄は日本復帰50年の節目を迎えた。 NHKでは、「山原(やんばる)」と呼ばれる本島北部の家族の、1972年5月15日の日本復帰から現在までの足跡を描いたドラマ『ちむどんどん』が放送されるなど、沖縄の半世紀の歩みに注目が集まった。 第二次世界大戦において、日本で唯一の地上戦という悲劇に見舞われ、長い米軍統治の「アメリカ世」を経てもなお、過重な基地負担を負わされる苦難の戦後史を刻んだ沖縄。 しかし、沖縄についてこれまで語られてきたどの「正史」にも、売春街に生きた女たちの人生が登場したことはない。 本記事では、「売春街」に生きた5人の女たちを取り上げた電子書籍『パラダイス』(大洋図書)から、沖縄の売春街の成り立ちを一部抜粋して紹介する。歴史の裏側に秘められた、もうひとつの「真実」がここにある。 「売春防止法もあしたから発令だな」 1972年5月14日。米軍統治下の「アメリカ世」から日本に