万華鏡のよな人間ドラマ 女子刑務所が舞台の群像劇、シーズン3。ストーリーの疾走感ではシーズン2に一歩譲るものの、細かなエピソードを万華鏡のように散りばめて大きなテーマを浮き上がらせていく手腕は見事そのもの。LGBT要素や、女性同士のエンパワメントの描写もナイス。 善と悪とはいったい何か シーズン2でもみられた「善と悪とはいったい何か」という命題が、本シーズンではさらに深く掘り下げられています。もう少し具体的に言うと、このシーズン全体に通底するテーマは、「善人と悪人の区分けは決して絶対的なものではなく、誰もみな弱くて愚かで、それゆえにいたいけな『人間』であるにすぎない」というものであるとあたしは受け取りました。 今やすっかり小悪党気取りのパイパー(テイラー・シリング)も、慢心から大失敗した昔のアレックス(ローラ・プリポン)も、一面的に「善」か「悪」かでとらえることはできません。いわゆる毒親の