人参をたくさん食べるとカロチンの影響で鮮やかな橙色のひよこが出るという。気恥ずかしくて伝聞体で書いてしまったが、先ほど自分の肉体を通してそのようなひよこを生成したので間違いない。都会のオアシスとも呼ぶべき例の小さな水面の底にゆっくりと沈んでゆくオレンジのひよこは、私から言わせれば神々しさや清潔感すら漂っていた。 同様に、ほうれん草などをよく噛まずに食べることでグリーンひよこは出せそうな気がする。よくわからないがシソをいっぱい食べればパープルひよこもいけるんじゃないか。夢はふくらむ。様々な野菜を摂取し様々な色のひよこを生み出す。このささやかなものづくりの喜び! 消費に疲れた都会人の密かな趣味として注目されるべきではないだろうか。私はすばらしい鉱脈を掘り当てた気がした。 まずはmixiで「カラーひよこ大好き!」みたいな軽薄な名前のコミュニティをつくろう。「はじめまして」トピと「こんなひよこ出ま
1.パウルの誕生と青年時代 小生の父となるタコは老獪で恐れを知らず、母となるタコは優美で美しかった。 諸兄は、タコの交尾というものをご存知であろうか。なんでも脊椎世界には「くんずほぐれつ」という言葉があると聞くが、たった4本ぽっちの手足しか持たない脊椎動物からそのような言葉が生まれるということ、そこに小生はいささか哀しみのようなものを覚えずにはいられない。 小生の父にあたるタコと、母にあたるタコは海底で出逢うとすぐさま、8本、8本、計16本の足を絡め、ちょうちょう結び、いかり結び、あやとりの東京タワーなどを即興で作り上げながら、性の営みに情熱の限りをつくした。まさに「くんずほぐれつ」である。その記憶はいまも海に漂っており、ふとした海水の流れから当時の彼らの熱狂をうかがい知ることができる。 母にあたるタコが産卵し、小生の人生の出発点となったのは、原発の排水によってあたためられた海であった。
元パイロットが語る、SR-71ブラックバード操縦のスリル2010.05.18 22:0026,639 Brian Shul - Gizmodo US [原文] ( satomi ) SR-71ブラックバード。チタン合金の機体、Pratt&Whitney社のJ58-P4エンジン、発祥の話をいくら並べたところで実録に勝るものはないでしょう。今回ご紹介するのは、極めて危険な任務でブラックバードを操縦したパイロット自らが語る回顧録です。-JD 1986年4月、ベルリンのディスコ爆破テロで米兵が死亡。これを受け、レーガン大統領はリビアの軍人ムアンマル・カダフィのテロリストキャンプ爆撃命令を下した。 僕に与えられた任務は、リビア上空を飛んで米軍F-111が加えた被害状況を写真に記録すること。カダフィは領土境界線「line of death(死のライン)」をシドラ湾に張り、そのラインから侵入してくる者は
ご報告が遅れましたが、10月の頭に名古屋へ引っ越しました。物心がついてからはずっと関東で過ごしていたのですが、生まれたのは名古屋なので、故郷へ戻ったことになります。ちなみに、物心がついたのは18歳のときです。 引っ越し先ですが、今は実家に住んでいます。パラサイトシングルとして社会問題化したともいえます。しかし、最近はあまりパラサイトシングルがどうとかいわないし、非婚実家住まいくらいでは問題視されないのでは? 社会問題も敷居があがったなぁ、と感じています。 名古屋へ越してきて一番驚いたのは、父親がソリティアをやりすぎなことです。まず、今、僕がどのような環境で生活しているかを述べたほうが話が早いでしょうか。一人暮らしではないので、今後はいろいろと日記にもわかり辛い部分が出てくるかもしれません。そんな時は今日の日記を読むと状況が整理できる、そのための説明をしたいと思います。 まず、僕の実家はだい
【講座:ペンとともに考える3】 「おおブレネリ」の謎 1 はじめに 2 与件の考察と基本的な疑問点 3 従来の学説とその限界 4 新たなる道へ 5 「おおブレネリ」の真実 6 状況の再現 1 はじめに まず最初に、本論稿の出発点となる歌詞を提示する。 「おおブレネリ」(松田稔作詞・スイス民謡) おおブレネリ あなたのおうちはどこ わたしのおうちはスイッツランドよ きれいな湖水のほとりなのよ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホホ おおブレネリ あなたの仕事はなに わたしの仕事は羊飼いよ おおかみ出るのでこわいのよ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤッホ ホトゥラララ ヤ
さっきから勃起が止まらない。こう書くと私の股間でロマンティックな何かが毎度お騒がせしますしているように思われるかもしれないが、私の股間はロマンティックと言うより、黒人演歌歌手ジェロであり、その先端からはしばしば海雪が出ると専らの評判である。それはそれとして問題は私の勃起である。もし私が国民的アイドルグループの一員であれば「勃起して何が悪い!」と啖呵を切るところだが、私は国民的アイドルグループでも国民的美少女でもなく、ザイール国民から熱狂的な支持を受けていた唯一の日本人男性に過ぎず、しかもそのザイールはもう無い。今あるのは儚くも切ない私の勃起だけである。だがここで嘆いても始まらない。かつてわらしべ長者(佳彦)は、1本のワラから1軒の家を手に入れたと言う。ならば私もわらしべ長者(佳彦)のひそみにならい、1本の勃起から1軒の家を手に入れてみせようではないか。思い立ったが吉日とばかりに、私はグンゼ
謎は深まるばかり (2002.10.30UP) ~続・たまごが先かにわとりが先か~ 以前このコーナーで「たまごが先かにわとりが先か」というのを書きました。 あるひとりのお客さんがうちの店で同じ漫画(『鉄鍋のジャン!全27巻』)をなんども売ったり買ったりしているんだという話です。つまり古本屋であるうちの店に自分で売りにきたその本を何日かすると買いに来て、また何日かするとそれをまた売りにくるということを何度も繰り返している不思議な人がいるという話です。あれを書いたのはもう1年以上前になりますが、最近またさらに謎が深まる展開がありましたので少しお話しましょう。 あの話をここにアップして以降、その売り買い行為は一度くらいはあったでしょうか。しかしその後それはやみました。そのお客さん(仮にAさんとしておきましょう)が最後に売りにきた『鉄鍋のジャン!全27巻』はそれから長い間なかなか売れずに棚に陳列さ
エレベータが上昇を続けているのは間違いないように思われた。乗り込んだ後には確かな加速を感じたし、それ以来減速した様子はない。もちろん、知覚出来ない程度の緩やかさで徐々に減速し、既に下降へと転じていることもありえるけれど、その可能性は排除していいでしょう……。そんなエレベータ、聞いたことないし。やはり、問題は、あまりにも長い間、上昇し続けているかどうかに絞り込めるはず、と、そこまで思案を進めたところで、エレベータは急に減速し、やがて停止した。やはり、何も異常はなかったのだ、と早苗は考えた。來未も到着に気付き、安堵した。終わってみれば、なんのことはない、ただの移動だった。所要時間も普段通り。ドアが開きはじめ、何の気なしに操作盤を見つめた澄子が息を呑む。「ここ、17階じゃないわ! なんてことかしら、ここはもっとずっと高層の、117階よ!!」。三人が三人とも、このビルには25階までしか存在しないと
來未 それは本当に驚きだわ! ただ驚きに満ちているだけではなくて、あらかじめ対応を用意しておくべき問題を提示しているようでもある。そんな、平気で嘘を吐く人たちに出会ったら、我々はいったいどう対処すればいいのか。とても興味深いテーマだわ。なぜ、社長のベンツは4ドアなのか、が公式に解明されたら、次はこの問題に取り組むつもり。2ドアだと、大勢で移動するときに乗りにくいからじゃないかしら、と推測しているけれど……。それとも、なぜ6ドアではなく4ドアなのか、という問題なのかしら? 確かに、6ドアの方が便利だとは思うけれど、車体がやたらと長くなってしまうからかしら…… 來未 いけない! それよりも、このエレベータはとっくの昔に目的階、17階についているべきだと思うの! あなたたちも、17階を押したのでしょう? もっとも、私が17階を押しているのだから、あなたたちが何階を押したのだとしても、たいした影響
エレベータが日本に初上陸したのは19世紀末のこと。「実際、これは黒船以来の衝撃だわ……」。はじめてエレベータを目にした当時の人々はそんな感想を口にしたという。しかし、來未のエレベータに対する第一印象は少し違っていた。來未は、初めてエレベータに乗ったときの事を全く覚えていなかった。それほど、薄い印象しか受けなかったのだ。これをきっかけに、当時の人々と、今を生きる自分の違いについて考察を深めることも一定の意義を有するのではあろうが、來未はそうしなかった。エレベータの歴史には興味が無かったし、そもそも、19世紀末には日本へ上陸していた事も知らなかったからだ。 ただ、エレベータとエスカレータの区別には特別な注意を払っていた。すこしでも、他の事に気をとられていると今でも間違えてしまう。エスカレートする乗り物がエスカレータ、そうでない方がエレベータと覚えていたのだが、この判別法はelevateという動
澄子 とても退屈なミーティングだったの。だから、ずっと正面に座っている彼女を見ていたわ。だって、他に見るべきものがなにもなかったし……。彼女はミーティングの参加者ではなかったけど、ちょうど見やすい方角にいたから。彼女は、そこで、ダンボール箱に、かわいらしい人形や、真っ黒で複雑な装飾が施されたノート、をたくさん詰めていて、でもそんなに急を要する作業じゃないという感じだった。合間合間に、複数の人が彼女を訪ねてきて、プレゼントをわたし、彼女はそれを見て少し涙ぐんだりしていたから、私はミーティングが終わると彼女に訊ねたの。「どこかへいってしまうんですか? それと、このノートへむやみに名前を書きこむと人が死んでしまうのでは?」と。彼女は「いいえ、どちらも違います。これは」と、段ボール箱を指差し、「ただ机を整理していただけです」といいました 澄子 でも、驚くのは、ちょっと待って!! ここからが、この話
青果売り場の一角で125円で売られているカット・パインは、お手ごろ価格とジューシーな甘み、なによりパックをあければすぐ食べられる簡便さが怠惰な主婦の人気を集め、青果コーナーの一角でしだいにその存在感を増しつつあった。一方、非常に硬くとげの多い表皮を持つ果実の性質上、その皮を剥き芯をくりぬく加工作業は非常に煩雑かつ危険であり、また果汁中に含まれる多量の酸やタンパク質分解酵素ブロメラインが皮膚のたんぱく質を分解するため、手荒れを招く。 だから、岡田真千子の手がささくれだらけなのは決してビタミンA、B2等の皮膚の再生に関わる栄養不足のせいではなかったし、ましてや親不孝が原因などでは絶対になかった。すべては真千子が青果担当であるせいであり、責任の所在はパインにある。それなのに、どうして「外食ばかりでロクなものを食べていない」だとか「あまり実家に帰っていないのではないか」だとか、あたかも自分に原因が
ブース清掃を終え戻ると、牧さんが「メレさん、今日で上がりだっけ?」と訊いて来た。 「お世話になりました」 「最近皆やめてくね…俺も早くやめたいわ」 「牧さん一番入ってますものね」 「あ、メレさん!最後にいいもの見せてあげようか!」 「お粗末な男性自身とかはやめてくださいね。目が腐れます」 「キツすぎるツッコミが聞けなくなるの寂しいネ!ちょっとそれ貸して」 牧さんはメレ子の手から消毒用のアルコールが入った霧吹きを奪い、客の忘れ物のライターをかざしてプッシュした。 「わー」水で薄めているとはいえ、軽く30センチは火柱が上がる。 「コレすごいべ?」 「それをレジでやる頭がすごいです。店長、防犯カメラ見てるって言ってたじゃないですか。牧さんクビですよ」 「いいんだってー。知ってる?君が来る前に店長がセクハラして女子が辞めまくって、もう募集かける余裕ないの。懲りて今は大人しいけど。俺がクビになったら
Wii欲しくない! 話は変わるけれど、手近な猫をつかまえてとっくりと見てほしい。薄い貝殻のような猫の耳の首側のほうのつけねに、妙な切れ目が入っている。これはすべての猫を統括する耳切山という霊山があり、子猫は生まれると耳切山に連れて行かれる。そして折り目正しい猫であるという証拠に、イリオモテヤマネコのオバアにちょんと耳を切っていただく。十六夜の例会には全国から集った母猫子猫で耳切山は大盛況で、その行列は八合目まで続いている。もしたまには目先の違ったセックスをしようと山にやって来て遭難したカップルなどがあやまってその儀式に紛れ込み、猫たちの姿を目にしてしまったならば、その愛くるしさにキリキリと心臓が絞り上げられるように感じ、ぱったりとその場に倒れ伏して朝には全ての記憶を失ってしまうので耳切山の秘密は保たれている。山猫オバアの金色の目やひときわ尖った耳におそれをなして泣き出す子猫もいるが、耳切台
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