『裸足で逃げる』は、虐待を受けたり、彼氏からのDVをうけたりした、沖縄の6名の女の子たちの生活史をまとめた作品である。 私は著者の上間陽子さん(以下、敬称略)と2012年から共同研究をはじめて、著書で登場する6名の女の子のうち5名の取材に同行させてもらう機会にめぐまれた。 私は調査の場面で、「裸足で逃げる」女の子たちが、語り出す過程をみてきた。彼女たちが、語り出すまでの過程には、とても大きな困難があった。その困難に対し、どのような調査を積み重ねてきたのかについて、以下では述べる。 調査を続けるという困難 女の子たちのしんどい話には、元旦那からのDVや10代の頃の性暴力も含まれていた。そもそも、暴力や性被害の当事者が、「一度限り」であっても、その話を語り出すことは難しいことである。 しかし、上間と私は共同研究を始めるにあたって、女の子たちとは可能な限り「継続的」に話を聞く形で調査を進めると決