はじめに 前編「3次元回転群」はリー群・リー代数による3次元の回転表現を議論したが、ロボティクス工学の世界では、回転運動だけではなく、並進運動も重要である。回転変換と並進変換の組み合わせによる変換は、物体の形状を変化せずに行うことができ、一般的には剛体変換と呼ばれる。 最新のSLAMやロボット運動学の論文では、頻繁的にリー群による剛体変換が用いられている。ロボット技術者として、最新の研究成果を追いかけるためには、これらの知識を理解する必要がある。しかし、Web資料や教科書などに情報が存在するものの、相当な数学力がないと理解しにくい。 本稿の目的は、ロボット技術者に必要な剛体変換群の知識をできるだけわかりやすく解説する。本稿の説明は、前編の内容を理解する必要があるので、もし「3次元回転群」がわからない方はまず前編を読んでください。 また、他のWeb資料や教科書ではリー群の指数写像と対数写像の