- 67 - 名古屋大学大学院教育発達科学研究科教育科学専攻『教育論叢』第 53 号 2010 年 大学生の「生徒化」論における批判的考察 新立 慶 はじめに 本稿の目的は近年大学生の特徴を表す新たな概念の一つである「生徒化」という特徴を批判的に 考察することにある。1980 年代においては授業に出ず、アルバイトやサークル、異性交遊に明け 暮れる大学生達の姿を指して「大学のレジャーランド化」といった表現がなされていた 1) 。しかし、 90 年代に以降になると大学の授業出席率は急上昇し同時に大学生の学生生活における勉強の位置 づけも徐々に高くなってきている 2) 。このように、近年の学生達の状況が変わっていく中で、新た な学生のタイプを示す言葉の一つとして「生徒化」という言葉が使われるようになった。この「生 徒化」という言葉は社会学やキャリア教育等の研究者達 3) を中心に使われるように