3月、東京新聞紙上の連載「私の東京物語」で、福島県大熊町出身の門馬好春(もんま・よしはる)さん(66)の物語を連載した。実家は東京電力福島第1原発1号機からわずか1.6キロにあり、周囲は福島県内の除染で発生した汚染土を長期保管する中間貯蔵施設に囲まれる。今なお許可を取らないと立ち入りすらできない門馬さんの実家を訪ねた。(山川剛史)
世界最悪レベルの東京電力福島第1原発事故から11日で13年。事故当初から対応に追われてきた汚染水問題は、昨年8月に浄化処理した水の海洋放出が始まり、貯蔵タンクの限界という危機は回避された。ただ、毎日発生する汚染水を止めない限り、放出は続く。東電は「汚染水ゼロ」の計画を示しておらず、終わりなき放出となりかねない。(小野沢健太) 「海洋放出に反対であることはいささかも変わりはない」。処理水の放出が始まった昨年8月24日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は会長声明で政府や東電を批判し、「全国の漁業者の不安な思いは増している」と懸念を示した。 全漁連の不安は的中し、中国が日本産水産物の輸入を全面停止。これまでに東電が支払った風評被害の賠償額は40億円超に上る。東電の小早川智明社長は放出開始時、「理解を得る取り組みは、廃炉が終わったときに結論が出る」と述べた。処理水の放出を含め、事故収束作業を完了さ
東京電力は7日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の汚染水の除染設備を洗浄中、建屋外に洗浄廃液が漏れ出たと発表した。漏えい現場で、周辺環境の約240倍に当たる7万2000cpm(1分間当たりに計測された放射線の数)が測定された。廃液が地面に染みこんだ可能性があるという。 東電によると、7日午前9時ごろ、汚染水に含まれる放射性セシウムやストロンチウムを低減する除染設備で、点検のために設備を洗浄していたところ、建屋外の排気口から洗浄廃液が漏れ出ているのを作業員が見つけた。約10分後に洗浄水の送水を止め、漏えいは止まった。作業員の被ばくはなかったという。
東京電力は福島第一原発で汚染水を浄化する装置から放射性物質を含む水が漏えいしたと発表しました。 東京電力によりますと7日午前9時前、汚染水を浄化する装置の排出口から水が漏えいしているのを作業員が発見しました。 装置は点検中で、ろ過水で洗い流す作業をしていた際、本来閉めなければいけない弁が16個中10個開いていたということです。 東京電力の試算では漏えいした水の量はおよそ5.5トンで、セシウムやストロンチウムなど220億ベクレルの放射性物質を含んでいる可能性があるということです。 漏えいした水は大部分が土へしみ込んだとみられますが、付近の排水路のモニタリングに有意な変動はないということです。 東京電力は水が漏えいした区域を立ち入り禁止とし、今後、周りの土を回収するなど対応を急ぐとしています。
東京電力は25日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しについて、3月中に始める計画を断念すると発表した。使用するロボットアームの性能が不足し、準備作業も難航したため。工法を変え、10月の開始を目指す。延期は3回目。 ロボットアーム 溶け落ちた核燃料(デブリ)を遠隔操作で、先端に付けた金属ブラシなどを使い回収する。伸縮式で最大長さ約22メートル。国の補助事業の一環として、国際廃炉研究開発機構(IRID)や三菱重工業、英国企業が2017年4月から共同開発した。開発費を含めた原子炉の内部調査事業には、約78億円の国費が投じられている。
テロ対策の不備で運転禁止が続く柏崎刈羽原発に、原子力規制委員会が調査に入った12月11日。柏崎刈羽の稲垣武之所長は、今も違反がなくならないことを報道陣から問われると、淡々と答えた。 運転禁止命令を受ける1カ月前の2021年3月、東京電力の小早川智明社長は新潟県庁を訪れ、花角英世知事や県議らに「うみを出し切り、生まれ変わるつもりで立て直したい」と約束した。しかし、侵入者対策用の照明を電源に接続しないまま放置したことをはじめ、不祥事はなくならない。ある自民党県議は「『信頼を回復する』と言ったのに、東電の体質は何も変わっていない」とあきれる。
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東京電力福島第1原発事故で生じた汚染水を浄化処理した後の水の海洋放出が24日に始まった。岸田政権の強権ぶりに批判が殺到するが、「今に至る事態を招いたのは東電」という事実を忘れてはならない。東電が起こした事故では、かねて多くの放射性物質が海に注がれた。隠蔽(いんぺい)が疑われた局面もあった。9月8日に提訴予定の差し止め訴訟でも、東電の「過去」と「今」が焦点になる。原告側は何を訴えるのか。いま、東電に問うべきことは何か。(安藤恭子、岸本拓也)
東京電力は5日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力容器を支える土台の損傷を巡り、圧力容器が落下して建屋外に放射性物質が飛散した場合でも、周辺環境に大きな影響はないとの予測を公表した。同日の東電との検討会合で報告を受けた原子力規制委員会は、想定が不十分として再検討するよう求めた。 東電によると、圧力容器の落下で外側の格納容器に穴が開き、飛散防護のシステムも無効になるなど最悪の事態が起きたとしても、発電所の敷地周囲での被ばく線量は約0.04ミリシーベルトと推計。関係法令で定める事故時の被ばく線量の基準(5ミリシーベルト)を下回り、影響は小さいとした。12月末までに、移動式のフィルター設備などの設置を目指す。
東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の1号機原子炉圧力容器を支える土台が損傷していた問題を巡り、東電の対応が後手に回っている。土台が崩壊し、核燃料が残る圧力容器が落下すれば、高濃度の放射性物質が新たに放出される恐れがある。東電は容器落下の可能性は低いとして、緊急時の対処をどうするか具体的に示していない。原子力規制委員会も苦言を呈するが、東電の危機意識は薄い。(小野沢健太) 1号機の土台損傷 土台は鉄筋コンクリートの円筒形で、厚さ1.2メートル、内側の直径は5メートル。核燃料が入っていた重さ440トンの圧力容器を支えている。昨年2月〜今年3月に実施した水中ロボット調査で、土台開口部のほか、内周の壁面が床から高さ1メートルにわたって全周でコンクリートがなくなり、鉄筋が露出していたことが判明。事故時の溶融燃料の熱で崩壊した可能性がある。土台外周の床付近は堆積物が積もって確認できず、損傷の
東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力容器を支える鉄筋コンクリートの土台が損傷していた問題を巡り、原子力規制委員会の山中伸介委員長は25日の記者会見で、圧力容器の倒壊など緊急時の対処に「昨年にコンクリートの損傷が分かった時点で、東電は対応するべきだった」と、東電の検討が遅いことに不満を述べた。 核燃料があった圧力容器真下の円筒形の土台(厚さ1.2メートル)は、昨年2月のロボットによる調査で、土台の開口部の壁が損傷し、鉄筋がむき出しになっていることが判明。今年3月には土台内部にロボットが入り、内側の壁から全周にわたって鉄筋が露出していることも分かった。 東電は今後、数カ月をかけて耐震性を評価する方針。だが、山中委員長は会見前の定例会合で、規制委事務局に「どういう対処ができるのか、早急に議論してほしい」と指示。会見でも「耐震評価には時間がかかり、待っていられない」と述べ
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