(参考写真)路上で食品を売る老婆。顔に刻まれた深いしわに生活の厳しさがにじみ出る。2013年6月に恵山市で撮影アジアプレス。 去る3月末、北朝鮮北部の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で、腹を空かせた高齢者と貧困住民が役場や労働党庁舎などに食糧を求めて殺到する騒ぎがあり、当局が警察を投入して解散させる事態になっていたことが分かった。現地に住む取材協力者が伝えてきた。 (チョン・ソンジュン / カン・ジウォン) ◆発端は1人のおばあさんの抗議だった 恵山市に住む取材協力者によると、騒動が発生したのは3月29日。事件の発端は、生活に苦しむあるお婆さんの行動だったという。取材協力者は次のように説明する。 「そのお婆さんは、洞事務所(町役場に相当)を訪ねて行って、『(金正恩)元帥様が、人民が餓死するまで食糧配給を出さないはずがない。中間で幹部たちが横取りするので食糧がなくなったのではないか。今