2023年5月、ビジネス総合誌「プレジデント」に頼まれて、東京大学総合文化研究科准教授・斎藤幸平(37)のインタビュー写真を撮ったときのことだ。斎藤が米政治学者の研究を紹介して語ったひと言に、宇佐美雅浩(51)は目を見開かされた。 折しも明治神宮外苑(東京)の再開発計画が進んでいた。明治神宮や三井不動産など4者が28・4ヘクタールを整備。神宮球場と秩父宮ラグビー場を場所を移して建て替え、高層オフィスビル2棟、宿泊施設が入る複合ビルを新たに建てる。こうした開発により743本の樹木が伐採され、100年かけて育まれた環境が損なわれる恐れがある。これに対し、末期がんと闘う作曲家・坂本龍一=同年3月28日に71歳で死去=が都知事の小池百合子らに手紙を送るなど、見直しを求める声が高まっていた。