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哲学に関するfutenrojinのブックマーク (53)

  • 哲学者が語る「失敗を生かすための条件」と「仕事で自信を育む方法」 | 失敗しても自信を喪失するとは限らない

    「失敗の捉え方」を変えよう ──失敗を生かすための条件といったものはありますか。 第一に、失敗の否認はダメです。自分の失敗を認められなければ、失敗からは学べません。 私は哲学教師として、失敗を認められない学生を多数見てきました。哲学の試験で20点満点中6点という低い評価をつけたときのことです。学生は反抗的な態度をとり、「採点しているのがあのペパンだから、こんないい加減な採点をされたんだ」と言って、自分の答案を見返しませんでした。これが失敗の否認です。これでは失敗を生かせません。 フランスの大企業では、経営陣が会社から追い出されることになっても、高額な手当てをもらって脱出できるゴールデンパラシュートが契約に盛り込まれていることが多いです。要は経営に失敗しても、退職金をちゃんともらえる仕組みになっているわけです。これは失敗の否認が契約に盛り込まれている事例と言えます。 第二に、自分と失敗を分け

    哲学者が語る「失敗を生かすための条件」と「仕事で自信を育む方法」 | 失敗しても自信を喪失するとは限らない
  • フランスの人気哲学者が伝授する「職場で幸せになるのに必要な3つのこと」 | 現代人は「承認欲求」を誤解している

    シャルル・ペパンはフランスの哲学者だ。パリ政治学院とパリ経営大学院を卒業した後、哲学の大学教授資格を取得。哲学を万人にわかりやすく解説するベストセラーを何冊も書いてきた。ベルクソンといった哲学者の言葉だけでなく、サッカー選手のズラタン・イブラヒモビッチの言葉も著作に引用するのが特徴だ。 ペパンの言葉に通底するのは、思考するきっかけを人に与え、人が物事に疑問を持ち、ときには自分の考え方自体にも疑問を持てるようにするところだ。フランスのビジネス誌「クーリエ・カードル」が、ペパンに「仕事で生きる哲学」を聞いた。 ──哲学を学ぶことは、仕事に役立ちますか。 哲学を学ぶと、自分がいまやっていることが何なのかについて考え、その意味を問えるようになります。それは必ずしも仕事にとってプラスではありませんよね。世のなかには意味を見つけるのが難しい仕事が多くありますし、その仕事をする意味を知ったら、「そんな仕

    フランスの人気哲学者が伝授する「職場で幸せになるのに必要な3つのこと」 | 現代人は「承認欲求」を誤解している
  • 新しい「働き方」だけでなく、新しい「余暇の過ごし方」を考えてみよう | リンダ・グラットン「新時代のワーク&ライフ」

    『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT──100年時代の人生戦略』の著者リンダ・グラットンが、変化の激しい現代のワーク・ライフ・バランスを論じる連載。 生成AIによる仕事効率アップや働き方改革の影に隠れた、「働き方」と同じくらい重要なこととは? 私たちはそれに充分に向き合えているのだろうか──。 古代ローマ人の「余暇の哲学」 ポンペイに行く人は多いが、ヘルクラネウムを訪れる人は少ない。 ローマ帝国のビーチリゾートだったこの街は、西暦79年のベスビオ山噴火によって、火山灰と火砕流に埋もれてしまった。そのため当時の様子がそのまま残っており、私たちはそこを散策することができる。じっくり遠回りするのがいいだろう。 ガイドが言うように、この街はカントリークラブの特徴をすべて備えている。壮大なプール、リラックスにもってこいの浴場施設、それにきらめく地中海の景色が楽しめるテラス。 目立つ場所には、古代

    新しい「働き方」だけでなく、新しい「余暇の過ごし方」を考えてみよう | リンダ・グラットン「新時代のワーク&ライフ」
  • 哲学者スラヴォイ・ジジェク「セックスのファストフード化が加速している」 | 「抑圧」の反対は「鬱」である

    スラヴォイ・ジジェク(75)にインタビューするのは、筆舌に尽くしがたい体験である。哲学者、精神分析家、文化理論家、政治活動家、ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター、そしてスロベニア共和国の元大統領候補である彼との会話では、一つのテーマから別のテーマへ次々と飛んでいく。だから、対談者はなんとかして置いてけぼりにされないようにしなければならない。ジジェクは、ユニークで予想がつかないのだ。 「剰余享楽」とは ──あなたは『為すところを知らざればなり』(※原題副題は「政治的要因としての享楽」)、そして『快楽の転移』をすでに書いています。そして今回、『剰余享楽』を発表しました。なぜ、このテーマに関心があるのですか? 戦争や人種差別、そのほかの多くの恐怖をめぐって何が起きているかを理解するためには、まさに享楽に注意を払わなければなりません。私は、享楽を「喜び」としてのみ

    哲学者スラヴォイ・ジジェク「セックスのファストフード化が加速している」 | 「抑圧」の反対は「鬱」である
  • ジェフリー・ヒントンが「AIは考え、理解している」という根拠 | 「AIのゴッドファーザー」による怒りの黙示録

    ヒントンの教え子が進める「スーパーアラインメント」 われわれはいまいったい何をするのか──それが大きな疑問だ。 2023年10月、ヒントンは前に進む道を提案した。ある公開書簡で、ヒントンと23人の国際的なエキスパートは名だたるAIラボに、それぞれのシステムが確実に安全で倫理的であるようにするため、研究・開発予算の3分の1を充てることを呼びかけた。 彼らは諸政府にも、大規模AIシステムの登記簿を作り、危険な行動を見せるAIの事例報告を企業に義務づけ、内部告発者を法的に保護することなどを勧めた。 AIラボや立法者がこうした勧めを聞き入れるかどうか判断するのは時期尚早だ。だが、現在76歳のヒントンは、その先陣にはこれ以上長くは立たないだろうという事実を受け入れている。世界を救う汚れ仕事は、次世代の肩にかかっているのだ。 人類にとっていちばんの希望となるかもしれないのが、ヒントンの元教え子であるイ

    ジェフリー・ヒントンが「AIは考え、理解している」という根拠 | 「AIのゴッドファーザー」による怒りの黙示録
  • 産めよ殖やせよ。人口崩壊の危機に立ち向かう米国の「出生主義」家族を訪ねて | お手本はイーロン・マスク

    こんな取材の始まりはめったにない。「あなた方の記事が私たちにとって手厳しいことになることを期待しています」と、ロイヤルブルーのベルベットの高級ソファーに座るなり、マルコム・コリンズは真剣な眼差しで言う。のシモーヌも即座に同意する。「生ぬるいのは面白くないわ」 分厚い黒縁メガネ──夫は角型、は丸型──をかけて、流行に敏感なオタクのように見えるコリンズ夫は、危険な扇動者にはとても見えない。しかし、30代のこの2人は──夫は36歳、は35歳──出生主義運動を存続させるための聖戦のさなかにある。 そして彼らは、その尊敬される顔役となることを厭わない。数ヵ月前から、彼らは迫り来る大災害、つまりは文明の「人口崩壊」を警告している。彼らの信条は、できるだけ多くの子供を作るように人々を促すことである。 ペンシルバニア州フィラデルフィアから車で1時間ほど、コロニアル様式の石造りの家で夫は迎えてくれ

    産めよ殖やせよ。人口崩壊の危機に立ち向かう米国の「出生主義」家族を訪ねて | お手本はイーロン・マスク
  • ヴィム・ヴェンダース「戦後ドイツで世界に憧れ、パリで映画を見つけた」 | 映画の道への軌跡

    フランスで出会った映画の道 ──あなたがここまでたどりつけたのは、どうしてだと思いますか? 22歳のとき、絵画の代わりに映画の道に進むのもいいと気づけたからです。映画なら、ほかの芸術もすべて含まれるので、絵画よりも豊かな表現になりうると気づいたのです。 画家になることを夢見ていた私は、このことに気がついたとき、激しく動揺しました。私は画家になるためにデュッセルドルフを離れて、パリで勉強していたのです。ただ、その頃の私は午後にひまな時間があり、自分の部屋は凍てつく寒さだったので、映画博物館の「シネマテーク・フランセーズ」に逃げ込んで、そこに入り浸っていました。 最初は1日に1見るくらいだったのですが、そのうちに1日に2、3見るようになりました。どの回も、上映前にシネマテークの創設者アンリ・ラングロワが映画の紹介をしてくれました。1年も経つと、私はシネマテークのコレクションを全作品見てい

    ヴィム・ヴェンダース「戦後ドイツで世界に憧れ、パリで映画を見つけた」 | 映画の道への軌跡
  • #117 過去に下した決断が正しかったどうかを考えても、意味がありません | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「50代独身です。やりがいのある仕事もあり友達もいるので日々の生活を楽しんではいますが、将来のことを考えると、ふとこれでよかったのだろうかと思ってしまいます」 今が不幸というわけではないけれど、人と同じような道を歩んでこなかったことに一抹の不安を覚える。もちろん、これから方向性を変えることだってできるけれど、20代のときのように「まだまだ若いから、人生これからどうにでもなる」というのとは違う。この腑に落ちない感情を、どう対処したらいいのでしょう。哲学者の岸見一郎先生に相談しました。 来し方を思って後悔しない人はいないでしょうし、行く末を思って不安にならない人もいないでしょう。 今振り返れば、「あのとき別の決断ができた」と思うことは多々あるかもしれません。しかも、別の決断をしていればただ人生は現在とは違ったものになっていたであろうというだけでなく、もっと幸福な人生を生きられ

    #117 過去に下した決断が正しかったどうかを考えても、意味がありません | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • #116 経済的に苦しいと思うなら、お金に無関心でいることです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「経済的に苦しい状態から脱出できず、辛いです」 止まらないインフレ、それに伴う値上げ、それなのに変わらない給料──お金に余裕を持って暮らしたい、たまにはちょっとした贅沢をしたい、将来のために貯金したい、それなのに稼いださきから出ていくという現実。 経済的なゆとりがないと、精神的にもぎすぎすしてしまうこともあるでしょう。そんな状況を、どうしたら改善できるのでしょうか。哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 経済的に苦しい状況はできないことが多くあります。いいこともあるとしても、そのできないことに目をつぶることはできません。 一生懸命働いているのに、経済的に報われないということがあれば、それは政治の問題です。自己責任であるとか、どんな状況でも耐えるべきだと説くような考え方は、為政者の失策から目を逸らせることになり、為政者にとっては都合のいいことです。 私はかつて心筋梗塞で入院

    #116 経済的に苦しいと思うなら、お金に無関心でいることです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 斎藤幸平が日本にとって「脱成長」が必要だと考える理由 | マルクス主義を掲げる日本の哲学者に米紙も注目

    少子高齢化が進み、国内消費が縮小する一方の日は、「脱成長のコミュニズム」によって自らを改革するべきだと、経済思想家の斎藤幸平は説く。米「ニューヨーク・タイムズ」紙が取材した。 斎藤幸平(36)が「脱成長コミュニズム」について書こうと決心したとき、無理もないことだが、編集者は首をかしげた。コミュニズムは日では人気がない。経済成長こそが金科玉条だ。だから、人口減少と経済停滞という日の現状を「危機」としてではなく、「マルクス主義を再検討する機会」として捉えるべきだと説くは、いかにも売れなさそうだった。 ところが、これが売れたのだ。2020年の刊行以来、斎藤の『人新世の「資論」』は、著者の想像を超えて50万部以上も売り上げた。東京大学大学院で准教授を務める斎藤は、定期的にメディアに出ては自身の考えを論じている。彼のこの著書は数ヵ国語に翻訳され、英語版は2024年早々に出版されることになっ

    斎藤幸平が日本にとって「脱成長」が必要だと考える理由 | マルクス主義を掲げる日本の哲学者に米紙も注目
  • “世界一幸せな国”フィンランドで幸せを探したら「悲観主義」にたどり着いた | 「幸福は涙で終わるのがお決まり」

    その秘訣はサウナか、自然か──。「世界一幸せな国」の幸せの秘訣を探しに、2023年度版「世界幸福度ランキング」19位の英国から、ライターのルーシー・ピアソンがフィンランドへ旅立った。彼女がそこで見つけたのは、日(47位)に暮らす私たちも知っておきたい、フィンランド人の“心の持ち方”だ。 「フィンランドの湖水地方で開かれる、“幸せ”のマスタークラスに参加しないかって声をかけられてる」。そう話すと、友人たちは驚いてこう言った。「待って、ルーシー。世界でいちばん幸福な部類のあなたが、フィンランド人から何を学ぼうっていうのよ」 なるほど。私は「コップにはまだ水が半分もある」と言ってはうざがられるタイプ。フィンランドの人たちはなぜ世界でもっとも幸福度が高いのか、それを教わりにわざわざ4日間の旅に出るとは、どういう風の吹き回しか。それでも根っからの極楽トンボの私は、その誘いを快諾した。 英国には、幸

    “世界一幸せな国”フィンランドで幸せを探したら「悲観主義」にたどり着いた | 「幸福は涙で終わるのがお決まり」
  • #105 何かを上達させたいなら他人と比較せず、失敗を恐れないことです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    運動、外国語、料理など、どの分野においても、人並みレベルになるまでに時間がかかるという人がいます。たしかに達成が困難なことはあります。そのため、着手してもすぐにできなかったり学べなかったりすると、自分にはできないと思ったり、そもそもやる前から断念したりする自分に嫌気がさしたりすることがあります。 アドラーは詩人ウェルギリウスの「できると思うがゆえにできる」という言葉を引用しています(『子どもの教育』)。「できると思ったらできるのであれば苦労はない」といいたくなるかもしれません。アドラーは「誰でも何でも成し遂げることができる」ともいっています(『個人心理学講義』)。 このような主張をしたアドラーは批判されましたが、彼の主張の核心は、初めからできないと思ってしまうと、それが生涯にわたる固定観念になり、そのような思い込みをなくせば達成は可能であるということでした。「何でも」は言いすぎかもしれませ

    #105 何かを上達させたいなら他人と比較せず、失敗を恐れないことです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 哲学者ピーター・シンガー 「AI企業は“残酷な畜産業”にこれ以上加担すべきではない」 | 「生きとし生けるもの」のためのAIへ

    AIは動物実験の一部を代替したり、動物の「言語」を解読したりするために役立つかもしれない。 だがAI企業は効率性を追求するあまり、劣悪な環境に苦しむ動物たちをさらに増やすことになる──そう警告するのは哲学者のピーター・シンガーだ。 AI企業が力を注ぐべき分野とは? 米誌「ノエマ・マガジン」に掲載されたシンガーの論考から考えていこう。 より多くの動物を詰め込む技術 工場畜産にAIを導入すれば、動物の成長の度合いをモニターしたり、寄生虫や潰瘍、けがを検出したりできる。AIによって疾病率や死亡率、そして“もっとも重要”な基準である畜産業の収益性を分析できる。 AIを用いることで病気を治療したり、給餌量を変えたりすることも可能だ。これは動物にとって有益と思われるかもしれない。病気になる頻度が減るし、病気になってもすぐに原因が特定できる。ヒューマンエラーの余地も少なくなるだろう。 しかし、AIが動物

    哲学者ピーター・シンガー 「AI企業は“残酷な畜産業”にこれ以上加担すべきではない」 | 「生きとし生けるもの」のためのAIへ
  • マイケル・サンデルやハン・ビョンチョルの思想はいま必要とされている─「ノエマ」編集長が語る重要性 | 「前に進む原動力になるのは、新しい思考の枠組みだ」

    ──日人に「存命の北米の哲学者の名前を一人挙げてください」と尋ねたら、過半数がマイケル・サンデルの名前を口にすると予想されます。一方、バーグルエン賞を受賞したチャールズ・テイラーやマーサ・ヌスバウムを挙げる人は少数派にとどまる気がします。これはマイケル・サンデルが過大評価されていることを意味するのでしょうか。 サンデルと40年来の知り合いである私に言わせれば、過大評価はありません。ただ、米国では、中国や日ほどの知名度がないのも事実です。もちろんハーバード大学では授業は大人気です。しかし、日中国とは異なり、ホールに1000人を超える数の一般市民を集めて話せるほどのロックスター級の人気は米国ではないのです。 中身のある哲学者だということは間違いありませんので、選考委員の誰かがノミネートすれば、いつかバーグルエン賞を受賞する日も訪れるのかもしれません。 サンデルの人気についていえば、米国

    マイケル・サンデルやハン・ビョンチョルの思想はいま必要とされている─「ノエマ」編集長が語る重要性 | 「前に進む原動力になるのは、新しい思考の枠組みだ」
    futenrojin
    futenrojin 2023/05/31
    ダニエル・ベルの自宅にサンデルと一緒に行って、哲学談義で時間を過ごすのは贅沢だ。アメリカの大学っぽい話。
  • なぜ柄谷行人は賞金1億円超の哲学賞を受賞したのか─哲学誌「ノエマ・マガジン」編集長に聞いた | 「柄谷は、さまざまな境界を越える独創的な思想家」

    ──バーグルエン賞では、選考委員はどんな議論をして受賞者を決めるのですか。 選考委員はバーグルエン研究所から独立して受賞者の選考をしているので、選考委員ではない私は、今回の賞の選考の際にどんな議論があったのかは知りません。毎年、代わり番で6人の有識者に選考委員を務めてもらっています。2022年度の選考委員長は神経学者のアントニオ・ダマシオでした。 この哲学賞の目的の一つは、西洋の思想家だけでなく、西洋以外の地域、とくにアジアの思想家にも目を向けることです。それで選考委員会には、中国人哲学者の汪暉(ワン・フイ)と、香港出身で現在はドイツ在住の哲学者ユク・ホイの2人のアジア系の選考委員もいます。柄谷をノミネートしたのは、この2人でした。 柄谷の思想でとくに評価されたのは次の2点です。一つは、哲学が生まれたのはアテナイではなく、その前の古代イオニアの「イソノミア(無支配)」から生まれたという着想

    なぜ柄谷行人は賞金1億円超の哲学賞を受賞したのか─哲学誌「ノエマ・マガジン」編集長に聞いた | 「柄谷は、さまざまな境界を越える独創的な思想家」
  • 「メンタル強者」は危険? 困難を乗り越えるのに必要なのが、「前向きな精神」ではない理由(岸見 一郎)

    人生のあらゆるところにある悩みの種。仕事、人間関係、生き方や老後、恋愛に至るまで、誰もが悩みを抱えて生きている。 哲学者で、アドラー心理学を研究する岸見一郎氏の新刊『泣きたい日の人生相談』は、2016年に始まったクーリエ・ジャポンの人気企画「25歳からの哲学入門」から厳選した30のお悩みに、岸見氏が「哲学」で答える。 記事では、「精神力」について考える。「メンタルが弱い」のが悩みだ、もっと強くありたい…そんなふうに感じている人は多いのではないだろうか。しかし、「強いメンタル」には思わぬ落とし穴が隠れている可能性があるという。それは一体どういうことか? 【記事は、『泣きたい日の人生相談』から抜粋・編集してお届けする。】 「強いメンタル」がほしい Q どんな状況でも前向きに乗り越えられる、強いメンタルがほしいです。 これから何が起きるかわからない。そんな先行きが見えない未来に不安を抱えてい

    「メンタル強者」は危険? 困難を乗り越えるのに必要なのが、「前向きな精神」ではない理由(岸見 一郎)
  • #99「趣味とは、結果を出すものでなく理由もない。けれど、生き方は変わります」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「趣味がほしくていろいろ試していますが、好きになれるものがありません」 誰から強制されることもない「趣味」は、好きになろうと意気込んだところで夢中になれるものでもありません。どうしたら、趣味が見つかるのでしょうか。 哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 何か趣味を始めるのに特別な理由は必要ありません。しかし日常に変化をつけたいと思ったとき、仕事を変えることはできなくても、仕事以外の時間に夢中になれる趣味があれば生活は変わります。 どんなことでも趣味にすることはできますが、「趣味」というためにはいくつか条件があります。 まず、役に立つ、立たないという発想から抜け出すことです。趣味がなくても生きていけますし、趣味を見つけなければならないというものでもありません。 次に、何か結果を出さないといけないという発想から抜け出すことです。専門家といわれるくらい究めると面白くなるのはた

    #99「趣味とは、結果を出すものでなく理由もない。けれど、生き方は変わります」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • #90 あなたが真剣に恋愛をしたことがないのは、対人関係を避けてきたからです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

    【今回のお悩み】 「今まで一度も誰かと真剣な付き合いをしたことがありません。パートナーがほしいです」 これといった“欠点”はないはずなのに、なぜか自分にだけなかなか恋人ができない。一体何がいけないの? 哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 「あとはお嫁さんだけ」といっていた人を知っています。今なお封建的な言葉を使う人がいることに驚きましたが、それはおいておくとしても、ほかの「もの」はすべて持っているのに、だけを「持っていない」といっているように私には聞こえました。 「結婚を考えている人がいるのだろうね」 「いや、そんな人はいない」 これまで誰とも一度も真剣に付き合ったことがないというのです。誰とも付き合わないで、いきなり結婚することは普通ないと思うのですが、今すぐにでも結婚できると自信満々であることに私は驚かないわけにいきませんでした。 外的な条件が整っていれば結婚できると考えていたの

    #90 あなたが真剣に恋愛をしたことがないのは、対人関係を避けてきたからです | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
  • 「家族や恋人より友人中心の人生を送ろう」と呼びかけるフランス人哲学者 | “友情推し”マニフェストの新刊で激論

    家族や恋愛よりも親密な友情を中心に生活を築くことは、楽しく、また必要な反逆行為であり、諸国の政府は社会のあり方を根的に考え直すために「友情省」を設置すべきだと、フランスのある有力な哲学者が論じている。 哲学者のジョフロワ・ド・ラガヌリは、友情推進マニフェストともいえる新刊『3──外の世界への思い』(未邦訳)のなかで、作家のディディエ・エリボンとエドゥアール・ルイとの親密な友情について詳しく記している。 この3人は夕を共にし、一日に何度もしゃべり、毎日おやすみとおはようを言い合い、予定を互いに合わせ、会って長話しする友情の時を確実に優先しているのだ。この友情はそれぞれの生活の中心であり、「果てしなく長い話し合い」なのだとド・ラガヌリは表現する。 ド・ラガヌリはこの友情を、よき友情に投資することのラディカルな青写真のようなものとして提示し、家族構成や恋愛関係を優先すべきとする社会の「権威主

    「家族や恋人より友人中心の人生を送ろう」と呼びかけるフランス人哲学者 | “友情推し”マニフェストの新刊で激論
  • フレデリック・グロ「『戦争とは何か』をいま敢えて問うことで見えてくるもの」 | プーチンの心理的動機と、講和の可能性

    ロシアウクライナ侵攻により、突如として私たちの目の前にリアルな姿で立ち現れてきた「戦争」。しかし、その哲学的な定義や、人類史における意味が深く考察される機会は少ない。そして、「なぜ人間は戦争をするのか」という根的な問いも──。 21世紀のいま、それを改めて考える哲学者、フレデリック・グロに、仏「ル・ポワン」誌がインタビューした。 なぜ戦争をするのか?──。 まるで子供の質問のようだが、そんな書名のがフランスで出版された。もっとも著者のフレデリック・グロ(55)に言わせるなら、哲学とは、子供の質問のような問いに大真面目に取り組み、合理的に考えていくことが多いのだという。 平和の時代に人はなぜ平和なのかと問わない。では、なぜ人は「なぜ戦争をするのか?」と問うのか。グロは162ページのこの著書で、人間の闇の部分を含むこの謎に取り組んでいる。その筆致は濃密かつ明快。かのレイモン・アロンの大著

    フレデリック・グロ「『戦争とは何か』をいま敢えて問うことで見えてくるもの」 | プーチンの心理的動機と、講和の可能性