アメリカのバイデン大統領が5月22日に来日し、翌23日に岸田文雄首相と会談した。両首脳はロシアのウクライナ侵攻を受け「東アジアにおいては力による現状変更を許さない」という方針を表明し、覇権主義的な動きを強める中国や、核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対処することを確認した。また、会談後の共同記者会見で、大統領は「台湾有事に際しては米国が軍事的に関与する」ことを明言した。私にすれば「やっとここまで来たか」と、ひとしおの感慨がある。 覇権主義の中国をここまでにした責任の一端は戦後の日米の政策にもあると思っている。中国が豊かになれば、民主的で国際秩序を守る状況が生まれるのではないかと期待して、最近まで中国に対する政府開発援助(ODA)を続けたり、「一つの中国」という言葉にとらわれて自らの行動を縛ったり、14億人という巨大なマーケットから生まれる経済的利益に目を奪われて安全保障を重視してこなかったツ