私的な面であろうと大統領への批判に対し、法的に大きな制約をかけようとしているのは、多くの民主主義国ではあり得ないことで、韓国の現在の政権の問題を顕著に示している。 この問題は、日韓関係の枠組みではなく、韓国政治のリーダーシップと民主主義の問題からとらえた方がよい。朴槿恵大統領は先般、「大統領に対する冒涜(ぼうとく)は大統領を選んだ国民に対する冒涜であり、許されない」という趣旨の発言もしている。選挙で選ばれた自分を批判するな、と言っているに等しい。民衆が信じる正義のためには多少の法的無理は許される、というポピュリスティックな論理構成で、韓国大統領制型民主主義の暴走と言ってもよい状態だ。 このような状態で韓国で嫌われている産経新聞をたたいても世論は反対しないだろうという読みも政権側にはあったろう。政権は、世論を背景に産経をたたくことで、加藤前支局長が引用した朝鮮日報をはじめとした保守系メディア
大統領をめぐる噂を指摘したことを理由に、海外の記者が出頭を命じられることは、1987年の民主化以降なかったことであり、朴槿恵政権の特異性を典型的に示している。国家の体面ではなく、大統領の体面のために検察が動いた形であり、朴大統領の個人的狭量さを表していると言われても仕方のない状況だ。 民主化以前の朴正煕政権下でも一部メディアをやり玉にあげ、他のメディアへの締め付けを行ったことがあるが、今回も産経新聞への捜査を通じて「大統領の個人批判はするな」と警告を発しているのだと思う。 産経新聞のコラムは主に朝鮮日報を基にしたものだが、面と向かって朴政権の支持基盤にもなっている保守紙を刺激するのはまずいという計算もあったのだろう。そういう意味では、産経新聞は「都合の良いスケープゴート」としておとがめを受けた形だ。(談)
韓国政治研究者をしていると、時々こういうことを聞かれることがある。韓国は反日感情の強い国だから、日本人が行って危害を与えられることはないのか、という趣旨なのだろう。大学院生の頃から25年以上、研究その他で日韓の間を行き来し、幾度かの長期滞在経験もある筆者であるが、少なくともその中で、日本人であるからといって、突然殴りかかられたり、危害を加えられたりした経験は全くない。 かつては場末の飲み屋で、日本語で話していると、突然酔っ払いに政治的議論を挑まれたりしたこともあったが、今ではそんなこともほとんどなくなった。最近では、韓国の大学で日韓関係について講義をしても、「日本の教授の意見」に挑戦しようと質問する学生もなく、地下鉄車内で大声の日本語で話していても、振り向く人もない。植民地下の民族運動の記念日である3月1日や、同じく植民地支配からの解放記念日である8月15日にも、日本大使館の前で行われる「
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