前回は、目下取り組んでいるフランスの若手作家の『7』というタイトルの作品について触れました。一九八一年四月の生まれだから(ウィキペディア情報)、今年で四十三になる計算です。 この歳になって、自分の娘たちとほぼ同世代の作家の翻訳をすることになるとは思ってもみませんでした。この若さのエネルギーたるや、凄まじいものがあります。この年代の自分を振り返ってみても、怖いもの知らずというか、何もかも怖いから目を閉じて突っ走っていたというべきなのかわからないが、若さというのは、とにかく空恐ろしい。 こうして今、フランスで注目の若手作家の翻訳に取り組んできて、強く思うことは、この若い作品を、日本の若い人たちに、いやもっとターゲットを絞るなら、小説家を志している若い人にぜひ読んでほしいということです。 ああ、自分もついにそんなことを願う歳になったのかという感慨のような、諦念のようなものが湧いてこないでもない。