——「抵抗への招待」、それはつねに他者からやって来る。誰もその発信者にはなれないがゆえに。誰もその宛先から排除されることはない。(あとがきより) 著者はジャン・ジュネ『恋する虜』の翻訳者、そしてジャック・デリダの翻訳者である。しかし、それにもまして、今日を生きる思考者である。四年半のパリ留学を終えて日本に戻ったのは1989年2月、昭和天皇裕仁の死とその葬儀の間の時期だった。以来8年間、パレスチナの映画作家ミシェル・クレイフィとの出会いと〈豊穣な記憶〉委員会の活動、湾岸戦争批判、ホロコーストの記憶映画『ショアー』の戦後50年日本における上映、〈国際作家議会〉への参加など、時々に著者の類い希な理路と熱意は人を動かしてきた。原則をゆるがせにせず、みずみずしい感覚で現代世界を論じる文章の全体を初めて集成する本書は1990年代クロニクルにもなっている。 I 〈ユートピア〉としてのパレスチナ——ジャン
1955年東京都に生まれる。フランス文学・思想専攻。1982年京都大学大学院文学研究科修士課程修了。1984年から88年までパリ第8大学に留学。一橋大学大学院言語社会研究科教授を経て、同大学名誉教授。著書に、『抵抗への招待』(みすず書房、1997)『償いのアルケオロジー』(河出書房新社、1997)『応答する力:来るべき言葉たちへ』(青土社、2003)『主権のかなたで』(岩波書店、2008)『ジャッキー・デリダの墓』(みすず書房、2014)『テロルはどこから到来したか:その政治的主体と思想』『まつろわぬ者たちの祭り:日本型祝賀資本主義批判』(インパクト出版会、2020)『いくつもの砂漠、いくつもの夜:災厄の時代の喪と批評』(みすず書房、2023)。訳書に、ジュネ『恋する虜:パレスチナへの旅』(共訳、人文書院、1994)『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』(現代企画室、1999)『シャティ
鵜飼 哲さん 一橋大学教授 「死の文化」の彼岸を目指して 私たちが生まれ、育ち、生活する社会は、犯罪のない社会ではありません。そして、 その犯罪のなかには、残念ながら、殺人も含まれます。最近では簡単に人を殺すよう になった――そういう指摘を新聞や他のメディアで耳にするようになったのは三〇年ほ ど前、私がまだ中学生の頃でした。その前はどうだったのか、調べてみなければわか りませんが、いつもそう言われていたのではなかったか、という疑問を私は持ってい ます。 それとは反対に、私には最近の傾向と思えることは、凶悪犯罪と呼ばれる事件が起き た直後の世論調査で、死刑に賛成と答える人がとても増えたことです。そのようなニ ュースに接すると、私はめまいを覚えます。というのも、簡単に人を殺すことと、簡 単に死刑に賛成することが、結局のところ同じ時代の流れに属しているような、同じ 無思慮、同じ反射反応か
鵜飼 哲(うかい さとし、男性、1955年 - )は、日本の哲学者。フランス現代思想、特にジャック・デリダの研究で著名。一橋大学名誉教授。 経歴[編集] 東京都生まれ。 京都大学文学部卒業 1979年4月 - 1982年3月 京都大学大学院文学研究科フランス語学フランス文学専攻修士課程修了、文学修士 1982年4月 - 1988年3月 京都大学大学院文学研究科フランス語学フランス文学専攻博士課程退学 1984年9月 - 1988年2月 パリ第8大学(ジャック・デリダに師事) 1989年4月 - 1991年8月 一橋大学経済学部講師 1991年4月 - 1994年3月 明治大学政治経済学部非常勤講師 1991年9月 - 1996年4月 一橋大学経済学部助教授 1993年4月 - 1997年3月 東京大学教養学部非常勤講師 1996年4月 - 1997年3月 大阪大学人間科学部非常勤講師 19
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