大政奉還で江戸を去り、駿府(静岡市)に移った最後の将軍、徳川慶喜(よしのぶ)公は、自転車を乗り回していた。籠、馬、そして、鳥羽・伏見の戦いに敗れた際には、船で大阪から逃げ帰った慶喜だが、家臣とサイクリングに興じる姿は、想像すると面白い。静岡市も、県内で初めて自転車に乗ったとされる慶喜の自転車を復刻するプロジェクトを始動させた。「けいきさんの自転車」は、どんな形だったのだろうか? (産経新聞静岡支局 田中万紀) 徳川慶喜公屋敷跡「浮月楼」には、明治20年ごろにけいきさんが自転車に乗っている様子を描いた絵と、その絵を見た米国人から寄贈された同型の自転車が展示されている =静岡市葵区紺屋町 Photo: Maki TANAKA 明治10~12年ごろ自転車を入手 「世界水準の自転車都市」を目指す静岡市。同市は、徳川家康公顕彰四百年記念事業の一環で、市内外から慶喜の愛車に関する情報や資料を広く収集し